海をのぞむ家 第 1 回沖縄建築賞 住宅建築部門 正賞

うるま市 , 2015

沖縄県の中部、うるま市の東側、海から 500m ほど離れた高台で東に海をのぞめるところに位置する。
まずこの敷地に立った時、海の見える素晴らしいロケーションを最大限に活かす建築を考えなければならないと考えた。そこで、接道している南側への開口は最小限としながら、東側の海が見える方向へ可能な限り大きな開口を取り眺望を取り込めるように計画した。どの空間からも綺麗な海が眺められるように、海側のロケーションと平行である東西方向の大きな壁を並べ、敷地手前から奥へ向かいその壁を境に、エントランスゾーン→パブリックゾーン→プライベートゾーンというかたちで壁による明確なゾーニングとするとともに、余計な物はその壁で切り取られ邪魔する物の無い綺麗な景色がどの空間からも楽しめるように考えた。
特に LDK の空間は開口を木製の大型引き込み戸とする事で外部との一体化をはかり、内部から自然に外部へつながり、内か外か錯覚を起こすような開放的な空間とした。床にはあえてレベルに変化をつけ、段差による緩やかなゾーン分けを行い、またレベル差で生じる視線の変化により空間に広がりを持たせるとともに、300 ミリ高くしたキッチンスペースに関してはリビングを介しても良い眺望が確保出来るような効果を与えた。仕上げに関しては、内壁外壁および天井共に普通型枠、一部に杉板型枠を用いた打ち放し仕上げ、床には割肌の玄昌石という「粗」な仕上げとした。粗な空間とすることで、より空間自体の持つ力が引き出され、自然と対峙しながら自然と一体化出来るような、普遍的で原始的な空間が出来ると考えた。
インテリアに関しては、無垢や質感のある素材、またアンティークの照明などを使用し、建物とのバランスを考え計画した。この住宅の中心でもあるキッチンは、多くの人が集まっても対応出来るようにフラットなダイニングテーブル一体型のアイランドキッチンとし、天板は無垢の一枚板で、機器はなるべく存在感を押さえられるよう昇降式のレンジフードを使用し、色彩も統一した。
台風の多い沖縄の高台で、このような大開口を持つ住宅をつくる事はとても勇気の必要なことであったが、この場所でしか出来ない、この場所だからこそ出来る建築を考えた。
このすばらしい環境で多くの台風も経験しながら年月を重ね、建築自体もこの環境とともに風景の一部となっていく事を願っている。

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