首里・桜の家

那覇市 , 2012

沖縄県那覇市首里、かつて琉球王国の王都として栄えた。
その地を選び、家を構え、住みはじめた。
いくつもの台風がこの家の上を通り過ぎ、
家の中では喜怒哀楽が繰り返された。
住み手とともに、家も歳を取り、
また、新たなスタートをするときがきた。
周辺はこの家と同じく歳を取った家、そのような家を取り壊して建てた中高層マンション。
様々な時代、様々な用途の建築が混在している。
住み手はまた新しい家を建てる事に決めた。
思い入れのあるこの地で、またあの頃と同じような日々を…。

 

 敷地周辺は、戦後、荒廃した土地に建ち並んだ住宅が老朽化を迎え、マンションや新しい住宅に建ち替わっているが、まだ古い建物も残り様々な種類の建物が混在している那覇市首里の一角に位置する。 施主の要望は、一つの敷地内にある長年住んできた古い家二棟を一つの家に建て替えるという要望であった。 思い入れのあるこの土地に、また新たな歴史を刻んでいける、落ち着いた、そして安心して穏やかな生活が出来る環境を希望された。

 プランニングにあたり、まず、交通量の多い前面道路を考慮し、道路から十分な距離をもたせ建物を配置した。 そしてヒンプン(琉球建築の民家における典型的な様式のひとつで、門と母屋との間に設けられる「目隠し」のことをいい、中国語の屏風(ピンプン)に由来するといわれている。「魔除け」という役割もある)に見立てた杉板型枠仕上げの壁に沿ってアプローチし、玄関に入ると仏間のある和室空間に至る。玄関・和室→リビング・ダイニング・キッチン等のパプリックスペース→寝室・水廻り等のプライベートスペース、と空間が構成される。 リビング、ダイニング、キッチンの空間は建物及び敷地に対して、ほぼ中央に配置し、そこから各室へ回遊出来るように計画した。

 また、外部空間に関しては「水盤」「緑のある眺める庭」「タイル床の使う庭」「物干等のサービスヤード」「周辺地域のシンボルとなるよう桜の木を植えた開いた庭」と、広い敷地である故に生じた土地の余白をどのように活かすかを考え、それぞれ異なった種類の外部空間を適所に配置し、そこから光、風を取り入れられるようにすると同時に室内からも様々な景色が楽しめるように計画した。

 生まれ変わったこの地、この建物で、桜の木とともに、また新しい歴史が刻まれていく事を楽しみにしている。

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